あずる

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ワンピース歌舞伎を観に行ったら日本文化の奥深さに感動した話

スーパー歌舞伎Ⅱワンピース》

http://www.onepiece-kabuki.com/

 

観劇して参りました。

 

とても素晴らしかった!日本に生まれて良かった!

 

 歌舞伎は数回観たことがある程度の私。これまで歌舞伎を観るというと、あれが見栄、睨み、あれが六方、怒りの感情を効果的に見せるための歌舞伎の伝統的な…などと身構えてしまうところがあったのですが、それは間違いでした。

 

 それらはすべて「ぎゃああかっこいい!!!」と観客の血の昂ぶらせるために磨かれたワザなのです。だから素直に「ぎゃああかっこいい!!!」と思えばいいのです。かっこいいは正義です。かっこいい!!!!

 

 さて、今回私が一番感動したのは、それぞれのキャラのつくり方でした。外見という意味でも演技の組み立て方という意味でも、それぞれのキャラによって、現代劇と歌舞伎っぽさのブレンド具合がまちまちで、そのバランス感覚が絶妙だったんです。そのキャラの特徴、隈取りや甲冑といった伝統手法が持つ印象効果、それらすべてをちゃんと理解して、さらに抜群のセンスの元に構成し直さなければこうはならない!

 

 さらに、少年漫画と歌舞伎の相性がこんなにも良いのかということにも驚きました。しかしよく考えてみれば漫画の、背景に「ドーーン」の文字を背負った見開き大ゴマは、歌舞伎で言う見栄そのものですね。相性が良いもなにも、そもそも漫画という平面の表現手法は、歌舞伎からの影響も少なからず受けて成立していると言えるのかもしれません。それが再び融合されて、今目の前にスペクタクルとして立ち上がってくるこの奇跡、文化ってスゴーーーイ!!!

 

 

 

以下ネタバレを含む各キャラへの感想

 

 

ルフィ/尾上右近

 

 私、予習せずに見たので、早替えの仕掛けに気がつかなかったんです。ハンコックとの殺陣のところで、なんで顔をあげないんだろう、と不思議に思ったくらいで。幕間にパンフレットを買って真相に気づいたときの驚きといったら!どおりでハンコックの鬘が、眉まであるわけです…。

 それから細かいですが、黒子を使った伸びる腕の再現に感動しました笑

 

 

ゾロ,ボンクレー,スクアーロ/坂東巳之助

 

個人的にMVP。中でもボンクレーは最高。そりゃ人気でるわあ!

 ボンクレーは外見もしゃべり方も独特で、やりたい放題やれて、絶対にウケる人気の出やすい役どころだと思うんです。そして現代演劇なんかで、役者がああいう役どころで楽しそうに暴れまわっている演目、よく見かける気がします。しかしよくあるのは、とりあえずウケはするけれど、突飛なだけだったりうるさいだけだったりして、真の感動には繋がらないパターン…

 でも巳之助さんはそうじゃない。歌舞伎と日本舞踊、そしてお芝居の実力が芯にあって、その上にボンクレーの突飛なキャラクターが乗っている。だからこそただの変な人で終わらずに、オカマウェイを貫くボンクレーの生き様が伝わる名演と感じられるのだと思います。見栄をきるときのボンクレー風キメ顔がツボ!

 

 

サンジ,イナズマ,マルコ/中村隼人

 

イケメン!二枚目!かっこいい!

イナズマは原作からかなり大胆にデザイン変更されていますが、それが大正解だったと思います。

正直最初に登場したときは、サンジという洋風な「イケメン」からは少し離れている気がして、微妙だと思ってしまったのですが…イナズマの大水の立ち廻りを見た後では、「これぞ二枚目」と脳が認識しているので、再登場したサンジも文句なくイケメンに見える!かっこいい!

 そして実は、マルコが原作で一番推している個人的に好きなキャラなので、マルコ登場の感動はひとしおでした。不死鳥が宙乗りしてくれるなんて…!ああかっこいい!

 

 

エース,シャンクス/平岳大

 

あれっ、この人、かぶいてない…と思ったら、

歌舞伎界でなく俳優さんなのですね。

確かにエースを一番現代風につくるというのはキャラ的にも合っていた気がします。しかし、歌舞伎ならでは誇張表現がずらりと立ち並ぶ中でただ一人、生身の俳優として素に近い表現をされていたことが、私には見劣りとしてうつってしまった…かな…。

 ルフィと並んで見栄切るシーンがあるのですが、やはり一朝一夕にはできないんだなと思ってしまったりして!初演のときのエースはどうだったんだろうと少し気になりました。